原付バイクで街駆け巡りナース 

訪問看護に転職したナースの日常ブログ。 こんなナースもいるんだと共感したり励みになって頂けたらと発信します。

看護師だからって当たり前にできる訳じゃない。

私の担当に終末期の方がいます。

介護者は娘さん。

その娘さんは同じく看護師。

元看護師でした。

看護師だから知識あるし家でも看れるよね...

そんな風に思われがちです。

 

その利用者が退院し初めて自宅へ訪問した

日のこと。

娘さんは看護師と事前情報があり

私の行うケアについて色々指摘されるのではと

逆にこちらが身構えていました。

しかし訪問すると本当に看護師だったの??

と疑うぐらいあたふた。

「こんなの私が働いてた時使ってなかった」

など言って。

ほぼ全介助だけれど娘さん1人で看るの

大丈夫だろうか?と先行き心配になりました。

 

数日後に訪問すると、要領を掴んできたのか

自分の看護観を持ってしっかりケアしている

娘さんがいました。

すっかり現役看護師でした。

 

自宅で看てどうですか?と聞くと

「病院と在宅って全く違う。他人を看るのと

家族を看るってこんなに違うんだと知った」

と言われました。

 

それから約4ヶ月経ちました。

そろそろ最期の時が近いのではないだろうか

という状態での訪問でした。

「在宅と病院はやっぱり違う」と改めて

娘さんが言われ...

「何が1番違うと感じましたか?」と問いかけました。

「ずっと傍で見てなきゃならないということ。

辛そうにしてる時もずっと傍でみてなくては

ならない状況がこんなにも大変で辛いとは思わ

なかった。病院なら何人も受け持ちがいて、

その場を離れ気持ちの切り替えができる。

家族となるとまた違う。」と話されました。

 

娘さんは最期まで在宅で看たい!と

1人でずっと看ていました。

意思疎通も難しく全介助な状況で、

訪問看護訪問介護サービスが

入ってはいましたが

1人でみる時間は多く負担も

多かったことでしょう。

 

娘さんは性格的にも責任感があり1人で抱えて

しまっていたのかも知れません。

 

それにプラスし看護師だったから看れるよね、

大丈夫だよねと思われてるんじゃないか?

と娘さんが言われていたことがありました。

 

もし私達医療者がそのように

思わせてしまう態度や発言をしていたことが

あれば反省です。

 

私はまだ親の介護をした経験はありません。

同じ立場なら同様な想いをしたかも知れない

です。

 

患者さんは他人です。

でもその患者さんに対して感情がない訳では

もちろんありません。

家に帰っても、あの患者さんあの後

痛みどうなったかな?と考える時もあります。

ですがちょっと客観的に冷静に考えることが出

来るかなと思います。

 

家族となると感情が先走ってしまいます。

 

この娘さんと関わりで看護師視点の

家族の想いを知ることができました。

 

看護師だから特別何でも病院と同じように

家で介護できる訳じゃないんだよ〜。

皆と同じように悩んだり不安になったり

するんだよ〜!と。

 

 

ちなみに私の看護師友達は

お産の後

看護師だから赤ちゃんのケアできると

思われてたのか

なかなか看護師や助産師さんが

母子同室の部屋に来てくれなかったと。

お産後の疲れがピークとなり「私は産科で働い

たことない!!」と看護師の前で大泣きしとい

うエピソードがありました。

 

看護師ってだけで何でもできると思われがち。

つい職業をヒミツにしてしまいたくなります。

 

そんなことを考えてた1日でした。

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